" /> 被災者と呼ばないで。そう母は言いました。: いつかきっとドットコム

被災者と呼ばないで。そう母は言いました。: いつかきっとドットコム

被災者と呼ばないで。そう母は言いました。

2011年03月23日 Comment(2)

110309-6.jpg
【地震2日前に撮った近所の川津桜】

お彼岸の連休明けの22日。
館山の病院は混んでいました。
平穏な館山の病院でさえ、この混雑ぶり・・・。
被災地の病院はいかばかりかと胸が痛くなりました。


被災した実家から母を連れて館山に戻ったのが
19日の21時過ぎのこと。
地震翌日に骨折した右ひじの治療をすぐにと思いつつ、
20日21日の連休明けを待っての受診となりました。


22日、アサイチで病院に予約の電話を入れると、
「予約がいっぱいで今日の診察は難しい」とのこと。
うむむむむ~ ^^;


「患者は私の母です。
実は、11日の地震で被災しまして、
茨城から館山に避難してきているんです。
骨折から10日も経っており、
日に日に痛みが大きくなっていると、
本人が訴えているのですが・・・」


そう窮状を訴えたところ、
「少々お待ちください」と電話が保留になりました。
保留音の向こうでアレコレ調整してくれたようで、
「それでは、ご都合のよい時間に予約をお取りします」と。


正式な予約を取っていた他の患者さんには
申し訳ないと思いつつも・・・。
病院側の配慮をありがたく受けることにしました。


「お母さん、
地震の被災者だと伝えたら予約が取れたよ!」


母にとって朗報であるその旨を伝えたところ、
なにやら浮かぬ顔の母がこんなことを言いました。


「被災者と呼ばないで・・・」



母は地震当日に骨を折ったわけではありませんでした。
あの大地震の翌日、深夜、トイレに目覚め
ベッドから降りようとした時に大きな余震にあい、
ビックリしたと同時に足が布団に絡まったらしく、
布団と共にスルスルとベッドから滑り落ちてしまい、
右手を突いた結果、右ひじを骨折したのでした。


救急病院で治療はされていたものの、
ギブスで固定されたままの右腕は、
骨折当初の炎症や腫れはひいたとはいえ、
固定されていることで筋肉が固まったのか、
違う痛みが出てきているようでした。


母は今回の骨折を、
こんな大変な時にとんでもないミスをしてしまった。
父の世話どころか自分の身の回りのことさえできない。
皆が忙しい時に周囲に迷惑をかけている、
自分はやっかい者だ・・・。
などと思っているようなのでした。


そんな心持ちでいたところ、さらに「被災者」と呼ばれ、
正式な予約者を押しのけて診察を受けることに
抵抗感を抱いている様子・・・。
母の気持ちも分かります。
分かりすぎるほど分かるけど・・・。


「お母さん、これは横入りじゃないんだよ。
他のみんながお先にどうぞって言ってくれたんだよ。
今回はその好意に甘えよう。」



雨の中を病院に向かいました。


「手の平を突いて落ちるともっと大変な骨折をして
手術しなければならないケースも多いんですよ。
この程度ですんでラッキーでした、よかったですね」


整形外科医の言葉に母は大きく励まされたようでした。


完治にはそれなりに時間がかかること。
経過観察と共にリハビリが必要なこと。
お風呂に入る時はギブスは外していいこと。
(それ以外はギブスで固定していること)
痛いのは筋肉痛だから湿布薬を処方しておきます。
娘さん(私のこと)、包帯はきつく巻かないようにね。

などなど。


そして、帰り道。

「牛丼屋さんって入ったことないでしょ?
次回の通院の帰りは、ここに入ってみようか?」

道路沿いの赤い看板を見ながらそう言うと、
「あら~、いいわね。」と弾んだ声が返ってきました。


いろいろ思うところありますが、
今はとにかく母の気持ちに添いながら過ごそうと思います。


【母のキモチ】
・被災者と呼ばれたくない。
(自分より大きな被災を受けた人に申し訳ない感じ)

・出かける際には行き先が病院であれ身なりを整えたい。
(髪を整え、眉を描き、口紅を塗ってキレイにしたい)

・過分な介助をされたくない。
(そうは言っても階段など、つい手を出してしまう私)

・離れて暮らすことになった父が心配。
(毎晩、今日のデキゴトを電話で話してる)


地震以来、寝巻き起き巻き状態が続いている私としては、
髪の毛と化粧は「帽子を被ってしまえば大丈夫」とばかり、
髪はバサバサ、顔はノーメイクだったのだけど、
なんというか、身奇麗にこだわる母に「へーっ」と思ったり ^^

ということで。
今回も自分記録(&家族への連絡)として記す。



※ この記事をブックマークする。

関連カテゴリ記事一覧

commentコメント

人に寄り添うこと、とても大事なことかもしれませんね。
身近な人を感じて話を聞いてあげる。

私も妻や子どもに寄り添ってみよう!

■ Anonymousさん こんにちは。

お返事がたいへん遅くなって失礼しました。

今回あらためて「話を聞く」って大切なのだと
身をもって感じました。
人は話すことで不安や恐怖を
デトックスできるのかもしれないなぁ、と。

commentwriteコメントする